追い払うのではなく、観る

相場禅

相場ではイヤな感情、不快な感覚が起こることがあり、しばらくの間引きずってしまうことがある。

雑念、ネガティブな感情、思考などは取り払おうとするほど、かえって大きくなる。

痛みや苦しみも避けようとするほど強くなる。

霊障などはさらにやっかいで、逃れようとするほど恐怖を増幅させ、力を与えてしまうことになる。

追い払うのではなく、観る

あるとき、ヨーガ行者ミラレパは薪を運んで洞窟に帰った。

ところがその洞窟の中に、大きな目をした五匹の魔物がいるのを見つけて驚いた。

魔物たちは悪意に満ちてミラレパを睨みつけ、

恐ろしい顔つきや身振りで恐がらせようとした。

ミラレパは「忿怒尊の観想法」を行い、「強力なマントラ」を唱えたが、
魔物たちはまったく意に介さない。

そこで、かれは慈悲の心をもって法を説いた。
しかし、かれらは嘲り笑い去ろうとしない。

かれは、はたと気づいた。

「一切の存在や現象は自己の心の現れだ。しかも心それ自身は空の輝きなのだ。
それ故、わたしのしたことは何になる。
この心の顕現を追い払おうとは、何と愚かしいことか。」

ヨーガ行者は歌を詠んだ。

魔物たちよ、今日、わたしは歓待するぞ。

おまえたちを迎えるは、わが喜び。

今宵は泊り込み、くつろぎ、大いに語り、遊ぼうではないか。

ミラレパは自信を持って立ち上がり、魔物に向かって駆け寄って、かれらをじーっと凝視した。

すると魔物たちはあわを食って、目をぎょろつかせ、わなわなと震えて後ずさりした。

そして、渦巻のように、ぐるぐると一つになって消え失せた。

この後、ミラレパは大きな精神的進歩を遂げた。

ミラレパの十万歌「赤い岩の宝石の谷の物語」

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